
シンスプリント
(脛骨疲労性骨膜炎)


【原因】
オーバーユース症の1つであり、繰り返しのランニングやジャンプを過度に行った場合に発症しやすい障害です。陸上競技、バスケ、サッカー等(※走る、跳ぶなどの動作が多い競技)で多く発症し、新入部員などにみられる急激な運動量増加が一番悪い影響を及ぼします。
過度の運動量、運動時間、運動内容、日数またはフォームの変更、硬い路面、薄く硬いシューズ(踵の摩耗)、下肢の形態異常(O脚、回内足、扁平足など)、下腿三頭筋の柔軟性低下、股・膝・足関節の柔軟性低下、足関節可動制限などが発生の誘因となります。
■病態
下腿内側筋群の疲労による柔軟性低下、特にヒラメ筋を主として後脛骨筋、長趾屈筋付着部が脛骨の表面を覆う骨膜を牽引して微細損傷(骨膜炎)をきたし、下腿内側の痛みを発生させるものと考えられます。
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【症状】
徐々に発生する下腿内側(主に脛骨内縁中1/3)の圧痛、運動時痛、腫張が主症状。
症状の程度は、次の通りです。
Stage1:痛みはあるがウォームアップにより消失する。
Stage2:ウォームアップにより痛みが消失するが、スポーツ活動終了後に痛む。
Stage3:日常活動に支障はないがスポーツ活動中、常に痛む。
Stage4:局所の痛みは常に存在して日常生活にも支障がある。
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【検査】
骨膜の炎症なので、レントゲン上では変化がないのが一般的です。
痛みの原因、局所の圧痛等で十分判断できる疾患です。
■鑑別診断
強い症状が続く場合は疲労骨折を起こしている可能性もあります。
初期のレントゲンでは確認は難しく、骨癒合した際に初めて確認できます。
治療法は同じで骨がズレる心配もないですが治癒期間は長くなります。
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【治療】
運動量など、考えられる原因を制限します。
急性期は局所の安静(運動休止)、アイシング、微弱電流治療、超音波治療による組織修復。
徐々に関連筋群の緊張緩和手技やストレッチ等を施行。
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【リハビリ】
痛みの強い急性期は運動の休止し局所安静を徹底しつつ、下肢の荷重運動を避けて水泳、エアロバイク、股関節、足関節、アキレス腱を中心とした下肢のストレッチングを行います。
自発痛や歩行時痛が消失したら足趾でのタオルギャザー、足関節の軽いチューブトレーニングを行います。
明らかな圧痛(押した際の痛み)が消失したらウォーキングから始め、次に両脚ジャンプで痛みが出なければ軽いランニングを再開、徐々にダッシュやジャンプなどの負荷の強い動きを再開します。
ただし、練習量を急激に増やすと、再び痛みが出やすいので注意してください。
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■今後ならない為の予防法は?
・練習量の調整
基本的には使い過ぎによって発生する症状なので、自信の現状能力以上の運動をしている可能性が高いです。一旦練習量を減らし、痛みが無くなってから徐々に練習量を増やしていきましょう。
(※急がば回れです。一気に能力アップしようと負荷をかけ過ぎると炎症を起こしてしまうのです。)
・ストレッチや疲労回復などのセルフケア
練習は自分の能力の少し上まで追い込むのが良いとされています。(それ以上やると怪我をする可能性が上がります) 怪我をしないギリギリまで負荷をかけられるように、練習後には必ずストレッチやマッサージ等を行いましょう。
・シューズやフォームの改善
明らかに炎症を起こす程の負荷がかかって内にも関わらず痛みが出てくる場合はシューズやフォームがあっていない可能性もあります。シューズのクッション性や走る路面の硬さ、正しいフォームを今一度しっかりチェックしましょう。